やさしい耳鼻咽喉科講座

喉頭がん

喉頭とその働き

喉頭は、舌の付け根の高さ、のどと気管の境目にあります。
喉頭には声帯があり、声帯が振動することで声をだすことができます(発声機能)。

その他、気管にたべものがはいる(誤嚥)のを防ぐ働きもあります。
喉頭にガンができれば、呼吸、発声、嚥下(ものを飲み込むこと)に障害が生じ、症状として、嗄声(声のかれ)、呼吸困難、誤嚥などが起こります。

喉頭がんの原因(危険因子)

(1)喫煙、(2)男性、(3)声を使う職業が、危険因子の主なものです。

以前は、男女比が10対1の割合で男性に多かったのですが、最近、女性の喫煙が増えているため、女性の占める割合が上昇しています。年齢は40歳以上で、特に50歳、60歳代に多くみられます。

症状

前述した喉頭ガンの症状のうち、一般的には嗄声は早期から出現します。それに対し、呼吸困難、誤嚥はかなり進展したガンにみられます。だから、嗄声が生じた段階で、早く発見されることが理想的と考えます。

もし嗄声が一ヶ月以上続くような場合は、喉頭ガンを疑って耳鼻咽喉科の専門医の診察を受けましょう。もっとも、ガンの発生部位によっては、呼吸困難、誤嚥が早期の症状の例もありますので注意して下さい。

診断

喉頭ファイバースコープという細い内視鏡を鼻からいれて、喉頭を観察するとわかります。さらに、小さな鉗子を使って、病変部を一部切り取り顕微鏡検査(組織診断)をすることで確実な診断をつけます。

治療

放射線治療が主体です。進行がんや再発がんでは手術治療が主に行われます。初期に発見されたガンでは放射線治療のみで高い治癒率(90%)を示し、外観ばかりだけではなく発声の機能も保たれます。

ある程度進んだ喉頭ガンに関しては、発声部位に応じた手術をします。ガンの進みぐあいに応じて手術にも種類があります。
一つは、音声を残せる手術で、もう一つは、喉頭を全部除去する手術(喉頭全摘出術)です。喉頭全摘出術した場合、頚部の前下方に気管の開口部がつくられ、呼吸はここからなされます。

喉頭全摘出術後は喉頭発声ができないため、その代用として食道発声や人工喉頭の使用が必要です。

一般的にはガンは早期なものほど治癒率は高くなります。さらにガンが早期かどうかによって治癒後の生活、特に会話でのコミュニケーションに大きな差がでます。

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